◎ 久住夏越祭典の由来について
古来より式内神社として豊後六座の二の宮と称され、豊後国誌にその記録もある久住大明神御祭礼とある籏を社殿に立て、収穫前の農作物を風や台風の被害から守る為の祭り即ち「風除け祭り」であったようである。
従って久住夏越祭りはかなり古く永い歴史を有する伝統的な祭典と言える。
近世では、元禄13年(西暦1699年)6月より、本宮に(建宮)御神幸の式典ありとの記録があり、これを以て大祭の始まりとしている。
当時の祭典の規模は、肥後藩久住会所たるは久住手永五千石を総括せる官衛にして、久住神社は右久住手永三千八百余戸の氏神であるを以て大祭当日は各町村の庄屋もれなく参列すること、祭典に関する総括は久住会所に於いて一切を差配する、とあるように以後、熊本肥後藩の厚い保護を受けてきた。
当時の細川公肥後藩主がこの大祭を一層賑やかにする為に、町の若者たちに「生人形」を乗せた、俄作りの「山車」を担がせて祭りに彩を添えたことが、現在の山車の始まりであろうと伝えられている。明治のころまでは、杉の丸太を組んで作った担ぎ山車であったが、大正になると荷馬車が出来、それを土台とした山車が出来るようになり現在に至っている。
この山車の特徴は「生人形」を乗せ、その日の題目によって動物等の造り物を作り、その背景となる舞台は、古い蚊帳、自然の草木等を用いてこしらえており、各家庭の日用品を持ち寄った材料を主として作り上げた見立細工である。「山車」の演題は、時には馬上ゆたかに跨る侍大将であり、時には童話を舞台にした可憐な童女であったりする。このように昔の詩歌・物語が演目となることが多い。また、世相を反映した演し物も注目されることがある。近年では、NHKの大河ドラマのテーマを主体とした演題も多い。
[山車]と[生人形]の美しさ、調和の取れた見立細工の見事さに加え、永い歴史の伝統が生き生きとして受け継がれているのが、久住夏越祭典の特徴である。
例年8月8日を前夜祭日、翌日8月9日を大祭御日として当日は神事の後、新輿二体が町中を御神幸、宵闇迫る(午後8時より)本山車出しが花火の合図で始まる。道路の両側に張られた祭り提灯の灯りと露店、見物人で賑わう街の中を、山車囃子の笛の音に大、小太鼓と鐘のお囃子に合わせて、各町内(四町)下町、本町、田向、新町の各自治会から伝統と気風にて趣向をこらして作られた4台の山車が、「ヤーマヤレ、元気出せ」の掛け声に合いの手を入れながら引き出され、子供たちを含めて賑やかにゆっくりと練り歩くのである。
平成元年までは、8月7日が前夜祭日、8月8日、9日が夏越祭典で8日に山車を作り練り歩き、9日も、前日作った山車は台だけ残し、撤去して作り替えて(俄山車ともいう)披露して練り歩いていた。
久住の町は古くから、肥後と豊後の交易地として栄え、商いを営む人達にとっては、農業を営む人々の平穏無事を祈念する気持ちは、商いを営む上にも極めて自然の意識となって、農相一致して盛大に継承されてきたものである。
久住の山を恐れ久住の山の神を崇め、手を合わせた謙虚な先祖の人達の意識を、私たちの手によって絶やさぬよう未来に永く伝え良き伝統を守り続けていきたいものであります。
◎ 久住神社の由来について
久住神社の起源は、飛鳥時代中期第37代高徳天皇の御代
(西暦645年)大化年中、桐迫村宮田鉾の空を夜々光の
如きもの、光り渡れること三夜におよび村人相寄り、村長
古沢能登守にもうしければ、村長村人共を引き連れて見る
に、その時上空より白旗なびき下り、一羽の白鷺現れてい
わく、この白旗は紀州鼈山神社の(元官弊大社鼈山神社)
の分神なり、この御印の白旗を持ちて、日向の国にまじく
給う時、この地に住み給うとのお告により、久住村桐迫杵
の木に斎祀し風水害から地域を護る神として信仰をあつめ
たのが起源とされている。
その後、寛徳元年(西暦1044年)白丹南山城主志賀
義天公が領内鬼門鎮護ため桐迫の内仲村に勧請し社殿を造
営し尊崇したが、天正14年(西暦1586年)鹿児島薩
摩軍との戦いに志賀氏は敗れ没落した為神社も廃頽した。
その後、慶長5年(西暦1600年)加藤清正が肥後に封
じられ、肥後藩熊本城主となって再興され、久住手永(産
山・波野・白丹・久住)一円の崇敬を集めた。
しかし寛永9年(西暦1632年)加藤家当主忠広は改易と
なり滅亡、代わって細川忠利が肥後熊本城主となり、細川氏
の時代となる。
寛文6年(西暦1666年)秋、仲村より飛森に社殿を造営
、遷座しお新宮と称え久住宮と尊称し「久住神社」となった。
これより古来久住手永一帯の広い地域の主氏神として尊崇
され、今日に至っている。
○ 主祭神 = 彦五瀬命(鵜萓草葺き不合尊の第一皇子、神武天皇の皇兄) ○ 合祠神祀 = 伊弉冊命 伊弉諱命 別雷神 菅原神 ○ 本宮 = 鼈山神社 (和歌山県三田村) ◎ 境内神社 二社あり ※ 八坂神社 祭神 = 須佐之男命 ※ 年徳社 祭神 = 大歳神